紅葉

今年は猛暑、残暑と長びいたあと、申し訳ほどの秋から一足飛びに冬が来た。

こんな気象状況に戸惑う私たちを他所に、山々の彩りは例年になくみごとだった。

紅葉（黄葉）の濃淡は、その年の寒暖差、陽光の具合などの条件に依るという。

そうした月日を経、散る寸前いっときの華やぎを見せる。

テレビなども、この秋の紅葉は格別と各地の名所を紹介していた。

鈴鹿山系も、早々とやって来た雪が、青空に映える木々の彩りを一層引き立てていた。

　　　　　　紅葉して歓語行き交ふ鈴鹿晴

写真は山日和氏提供　　２００２年　秋　鈴鹿で撮影




　落葉

　「落葉は秋の挽歌ではなく、春の序曲である」

誰の文とも記さずノートの隅にメモっていたのを見つけ、

まさにそのとおりと思い引用させてもらった。

まだ色褪せない落葉の嵩の中に登山靴を沈めながら、

見渡す辺りの枝々には、もう次の生命が宿っているのである。

カサ、カサと音を立て歩いていると、

前方の木の梢近くで餌を啄んでいたらしい小鳥がフワッと枝移りした、一羽二羽と。

それは木の葉の舞のようにも見えた。

　　　世に疎き身やはらはらと落葉季
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 歩未

　　　　　　　　　　　　　　　管理人撮影